株式会社ゼンリン
- 導入いただいた製品
- ご導入前の課題
- ニューテックを選んだ理由
株式会社ゼンリンは、住宅地図情報を基盤とした各種地図の企画・出版及び各種地図データベースの企画・制作及びこれに付帯または関連するソフトウェア開発・情報サービスを提供しています。従来からの印刷物としての地図を始め、パソコン用地図ソフトやカーナビソフトなどを自社ブランドで商品化しています。2006年にはPSPR(プレイステーション・ポータブル)専用地図ソフトウェア「みんなの地図」をリリースするなど、地図ソフトの市場をより広いものとしています。またカーナビ用地図データは、自動車メーカー純正対応品やカーナビメーカー対応品をラインナップし、国内トップシェアを誇っています。地図データベース関連事業が順調に成長したことにより、2006年3月には東京証券取引所市場第一部に株式上場するなど、地図業界のリーディングカンパニーと評価されています。
正確な地図データベースの作成には、大量の基礎資料や静止画・動画などの取材データを収集する必要があります。特に、カーナビなどに使用されるデータには見やすさと正確性が求められ、必然的にデータ量は膨大なものとなります。それらを高品質の地図データとしてまとめるためには全てのデータをオンラインで参照する必要があり、ゼンリン様ではそれらのデータをDBと大容量ストレージに登録する自社開発のシステムで業務をされています。データ登録システム用ストレージとして求められる要件としてはとにかく大容量であること、そして安価であることでした。 データ登録システムは一般のファイルサーバとは違い、以下のような特徴を持っています。
- 一つ一つのデータが大きい
地図のメンテナンスの元情報として、官報などから道路等の変更情報を入手し、実際に道路を走って調査/取材を行います。撮影したビデオから動画データや静止画データを作成し、登録します。また、高精細な航空写真なども平面データとして登録されます。 - データのライフサイクルが長い
取材データを元に地図データが完成したからといって元データを削除することはできません。履歴も重要な情報として、データ登録システムに登録されています。 - 一旦登録すると、参照のみとなる
地図作成の元となるデータなので、それ自体に修正が加わることはありません。 - 元データが必ず存在するので、データロスの心配がない
登録されているデータを作成するために使われた取材ビデオなども残されているので、万が一データが失われても再登録が可能です。
ゼンリン様ではこれまでFC HDDを採用した高速・高性能なストレージをメインで採用されてきましたが、データ登録システム用に数十TBの容量を新規に導入するにはあまりにもコストがかかってしまいます。そこでデータ登録システムの特徴から、低価格なSATA RAIDベースのNASである、ニューテックの“EvolutionII NAS for Windows”をご検討いただくことになりました。
まず、特徴の1および2の大容量であることはSATA RAIDの得意とするところです。ディスク単体の容量がFCやSCSIのディスクより大きいので、同じスペースで1.5倍以上の容量のRAIDを組むことができます。同じコストをかけるとすれば数倍の容量を得ることができます。
特徴の3もSATA RAIDベースのNASに有利な条件でした。一般にSATA RAIDは高い負荷による性能低下は避けられないものとされています。しかしゼンリン様のデータ登録システムでは一旦書き込まれたデータは参照のみとなるので、ストレージ部分にかかる負荷は相当低いものとなります。またNASヘッド部分の性能によりストレージ部分の性能を補うことも可能でした。
特徴の4についてもシステムのコストを下げるためにSATA RAIDを本番系で使える要件となりました。SATA RAIDが安価である理由として、ディスク単体での信頼性がFCなどより低いことがいわれています。しかしゼンリン様のシステムでは「SATA RAIDでも問題ないし、逆に安くなる方が重要」とのことでした。
結果として、「当該業務において性能および品質的には問題ない」との判断をいただき、14TBモデルを4式導入していただきました。
実際に業務に使用していただいた感想をシステム担当の方にお聞きしました。
まず、スピードに関しては合格点をいただくことができました。基幹の光ベースギガビットLANにEvolutionII NAS for WindowsのギガビットNICを2本束ねて接続していただくことで、出典を読み込むときのスピード(表示スピード)が遅いというユーザーの声は聞こえてこないとのことでした。出典登録についても大量のデータを確実にコピーして翌日には参照業務が始められることをご確認いただけました。
導入いただいた4台のNASの稼働状況をお尋ねしたところ、最初の1台のみが業務に使用されていて、それがいっぱいになったら次のNASが順次業務に投入されるとのお答えをいただきました。これは負荷分散の仕組みを取り入れなくても現時点ではパフォーマンスに問題が無いのと、データ登録システムの設計上ユーザーがどのNASにどのデータが登録されているのかを一切意識せず業務をすすめられるからというのが理由とのことでした。
今回業務の現場にお邪魔させていただいての感想ですが、弊社の製品を非常にうまく使っていただいていることに驚きました。現在のTB級ストレージを使ったファイルサーバでは、ユーザーがホスト/ディレクトリやファイル名までを完全に把握するのが難しく、どこにどのデータを保存したのかがわからなくなってしまいがちです。それにより業務の効率が落ちたり、同じファイルを複数の場所に保存してストレージの使用効率が悪くなったりしてしまいます。しかし、ゼンリン様のシステム作りでは弊社のNASが「完全に整備されたファイル置き場」としてご利用いただけていました。また、SATA RAIDベースNASの特性を最大に生かせるようなポジションで本番系業務に投入いただき、実際に滞りなく業務を遂行していただいている様はメーカーとして大変うれしい限りです。今後もよりよい製品、特に弊社の得意とする低価格・大容量ストレージを提供し、少しでも皆様のお力になれるよう努力させていただこうと思いました。
(2007/2/8)