システムをラックマウントする
サーバやストレージの設置を省スペース化して管理を容易にする
複数のサーバやストレージでの分散サーバ環境では、機器をラックキャビネットにマウントした方が省スペースで、かつ、システムの集合によって管理も容易です。この記事では、ラックキャビネットの設置に備えたポイントを網羅しています。(2001年掲載)
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本ページに記載された技術情報は記事が出稿された時期に応じて推奨システムに対する考え方や実現方法が書かれています。 |
複数のサーバやストレージでの分散サーバ環境では、機器をラックキャビネットにマウントした方が省スペースで、かつ、システムの集合によって管理も容易です。
ラックマウントの規格
19インチラックキャビネットには、EIAとJISの二つの規格がありますが、コンピュータ用にはEIA規格のキャビネットを用います。もちろん、サーバ本体から、RAID装置、ネットワーク機器も、この規格のサイズに準拠して設計されています。この約19インチ幅の装置が、ラックキャビネット内に積み重ねられるよう実装されます。
また、ラックの基準には横幅以外にも高さの基準があり、ユニットという単位で扱われます。1ユニットの高さは約45mmの寸法になります。それぞれの機器はこの単位を基準に2ユニットなら約90mm、3ユニットなら約135mmと整数倍の高さで設計されています。一般には1ユニットの高さの装置は1U、2ユニットの高さなら2Uと呼ばれています。もちろん1Uサイズ機器の方が、厚さが2Uの半分ですから二倍の台数を実装できるので、最近1Uサーバが流行るのもこういった理由からです。
キャビネットの種類と設置
キャビネット本体は、内部の機器実装寸法の内、横幅と高さを満足していればEIA規格に準拠していることになるので、それ以外の寸法はさまざまなタイプがあります。キャビネットは高さがあれば、ユニットの実装数が多くなります。背の低い10U程度のキャビネットから40Uクラスの背の高いタイプまであります。
ニューテックのラックマウントタイプRAID製品のセットアップであれば、RAID本体以外に、サーバ、UPSなどをセットするので、20U(115cm)~25U(140cm)の高さのキャビネットが適当です。それ以上のサーバルームなどに設置する180cmを超える大型のキャビネットの場合は、耐震対策として、フロアからアンカーボルトで固定を要します。この固定をきちんとしておかないと、地震でキャビネットが移動し内部配線が切れた例が多くあります。また、固定する場合には、キャビネットは壁面から人が通れる程度のスペースを空けておくことも大事です。ラックマウント機器の配線は、通常、背面から行うためです。
1キャビネットであまり多くの機器の実装をしない場合は、キャスター付きの高さ25Uくらいの低いキャビネットが便利です。この大きさでも中小規模のサーバシステムには十分といえます。サーバの配線が終われば壁面近くまでキャビネットを押し込めるので省スペースにもなります。
キャビネットの選択とオプション
キャビネットの購入時、よく注文ミスをされるユーザーが多いので、注意すべき点を述べておきます。
実装する機器の奥行きを調べておくこと
キャビネットを購入したのだけれど、装置の奥行きが深すぎて実装できなかった例が多くあります。最近の1Uサーバーは大体60cm程度の寸法なのですが大きなサーバ機や、テープライブラリなどで70cmクラスのまであります。こういった奥行きの深い装置が実装できなかったという、トラブルが多いので注文する際には実装する装置よりも少なくとも15cm程度は奥行きが深いものを選んでください。
サポートアングルとACパワーダクトを用意する
ネットワークハブなどの軽い機器は、フロントパネルのネジ止めで十分固定可能ですが、サーバやRAID装置など、重量がある機器を搭載する場合は、それを支えるパーツが必要となります。そのオプションは、サポートアングル、棚板、シェルフ、スライドレール等があります。シェルフは前面のネジのみで固定するため、ラックマウント出来ない軽量な小物を乗せるのに適しています。スライドレールは、装置を引き出しメンテナンスする場合に必要です。棚板やサポートアングルは、重量のある装置の搭載時に必要です。サポートアングルは写真のように両側にネジ止めし、このアングルの上に装置を実装します。ただし、1UのサーバやRAIDの場合、サポートアングルを1U単位に取り付けできないので、3~4段毎にアングルを一つ入れる方法をとります。また、ACパワーダクトを利用するとAC配線がキレイに出来ます。OAタップを利用する人もいますが、キャビネット筐体にACコンセントが固定されていた方が安全です。また、ブレーカーを内蔵するとより安全性が高まります。
FANの取り付けは絶対忘れずに!
キャビネット購入時に忘れがちなオプションがFANです。コンピュータ機器は消費電力150~300W程度が一般的ですから、こういった機器を10台も実装すると、例えば100Wの白熱電球を20~30個箱に密閉して点灯しているようなものです。どれだけの暑さか想像いただけると思います。したがって、キャビネットには、強力なFANをとりつける必要があります。サーバ機や、RAID装置などのエアーフローは、前面から吸気し背面から排気するのが一般的なので、FANの取り付け位置はキャビネット背面の上側が一般的です。また、システムの発熱量によっては複数のFANを取り付け、エアーフローを強化する必要があります。
以上の説明の通り、ラックキャビネットへの実装には、最低限必要なオプションも合わせて用意する必要があります。しかし、EIA規格とはいえ、その互換性は内部寸法のみなのでニューテック製品付属のレールなどのマウンターが使用できない場合、各オプションはキャビネットメーカーの純正品を用意しなければなりません。
ラックキャビネットへのAC電源
ラックキャビネットには、かなりの台数の装置を実装可能なので、少なくともAC電源を単独利用する必要があります。オフィスの壁コンセントでは不十分な事例も多く、ラック内の装置の電源を投入したらブレーカーが落ちるトラブルがあります。
サーバー機に対して、こういった不安定なAC電源を供給することはお奨め出来ません。ブレーカーからダイレクトに、一系統のAC電源として単独利用できるよう電気工事が必要です。しかし、電気工事といってもエアコンのコンセントを増設する程度の作業ですから、近所の電気工事業者に相談してみてください。
(電気配線は必要電力に応じ、複数本、必要になる場合があります。)
また、サーバールームに大型のキャビネットを何台も設置する時には、もっと大規模な電気工事が必要です。規模にもよりますが50Aクラスの幹線工事や、AC電源の冗長性を確保とするシステムには、複数系統の電源を引き込む例もあります。
ラックキャビネットの取扱い
ニューテックでは、キャスター付の低いタイプのラックキャビネットまでの取り扱いを行っております。大型のキャビネットの設置は、耐震対策や大容量の電源工事を必要とするので、専門の設備工事会社にご依頼ください。
(2001年5月掲載)