Linuxサポート情報
フリーOSであるLinuxの運用に対する考え方
全てがボランティアによって構築されたフリーOSは、仮に大きな問題があったとしても、誰にもその修正に対する責任はありません。つまり、雑誌などに無料で添付されているプログラムを自分の責任でインストールし、 自分の責任で運用しているのと同等であることを、導入に先立って理解していなければなりません。
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本ページに記載された技術情報は記事が出稿された時期に応じて推奨システムに対する考え方や実現方法が書かれています。 |
フリーOSの宿命
フリーOSは世界中の有志(プログラムを行なう人や費用を負担する人全てを含む)によって改良されており、その利用者全ての環境に対して、誰かが動作保証を約束して くれているわけではありません。
全てがボランティアによって構築されたフリーOSは、仮に大きな問題があったとしても、誰にもその修正に対する責任はありません。つまり、雑誌などに無料で添付されているプログラムを自分の責任でインストールし、 自分の責任で運用しているのと同等であることを、導入に先立って理解していなければなりません。
(もちろん、その運用を代行してくれる会社もあります。)
この責任の範囲は、もちろんLinuxディストリビュータも含めるので、仮にカーネルの致命的なバグを見つけ指摘したとしても、ディストリビュータが自社の負担でカーネルを修正する義務そのものがないのです。
したがってLinuxなどのフリーOSを使っていく以上、状況に応じてハードウェアやソフトウェアの変更がやむおえない場合があることを、あらかじめ理解しておかなければなりません。ニューテック製品でも、周辺機器側で、できるだけの対応処置を行なっていますが、処置不可能な問題がある場合には、お客様のシステム内容の変更をお願いせざるをえない事を予めご理解ください。
フリーOSの実務利用にはメンテナンス技術者の配置を要します
フリーOSが実務レベルで十分使えると評価される時代となった現在、このOSの利用には大きなメリットがあります。例えば、メーカー製OSベースのアプリケーションサーバ(データベースなど)が数百万円しても、Linuxベースなら数十万円、場合によっては数万円で利用できるなどのメリットがあります。こういった利益を活用するには、Linuxのメンテナンス技術者を確保する必要があります。これは前記の通り、状況に応じてハード・ソフトのシステム変更を要する場合があるためです。 しかし、自社内に技術者を配置するのもコストがかかるので、ソリューションプロパイダとして技術系会社とのコンサルティング&メンテナンス契約を結ぶことが合理的といえます。例えば、サーバやストレージをはじめとするハードウェアおよびソフトウェア一式で供給するベンダーからシステム導入し、メンテナンス契約を行なう方法もあります。
Linux のディストリビューションパッケージって何が違う?
Linuxのディストリビューションが盛んになり始めた頃はグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)やインストーラの操作性程度の違いでした。(日本では特に漢字サポートにおけるディストリビューションの違いがありました。)しかし、 最近は目的に応じてアプリケーションレベルでのサポートが違ってきています。 例えば、データベースの運用管理を前提とするディストリビューション、インターネットサーバーの運用管理を簡単にしたディストリビューション、科学数値の並列演算用のパッケージ、インストールするプラットホーム(CPU)のサポートレベルなど様々です。「Linuxなら、どこのディストリビューションを選んでも一緒」ではなく、個々のディストリビュータによって、そのサポート・メンテナンスのサービス体制が全て違うので、自社の運用目的を明確にして、その管理をどのように行なうかを検討した上で、採用するディストリビューションを決定すべきです。(ディストリビュータによって、サーバの運用管理までのメンテナンスを契約できるところもあります。ただし、ハードウェア込みのインストールを条件として)
周辺機器サポートに関して
最近多いテープ装置のトラブル
Linuxは新しいカーネルバージョンが出荷される度に、その時点で新しいSCSIカード への対応を行なわれていますが、様々なハードウェアが出荷されるPC市場における信頼性評価には限界もあります。ニューテックでも、できるだけ多くのLinuxディストリビュータと技術提携を行い周辺装置の動作検証していますが、自作機をも含めて無限の組み合わせで構成されるPCに対する動作保証は現実的に不可能です。なるべく基準となるハードウェアをベースにサポートしておりますが、種々の事情によりSCSIカードの変更やインストールするLinuxパッケージ変更を、どうしてもお客様にお願いせざるを得ない場合もあります。
最近多いテープ装置のトラブル
Linuxは新しいカーネルバージョンが出荷される度に、その時点で新しいSCSIカード への対応を行なわれていますが、様々なハードウェアが出荷されるPC市場における信頼性評価には限界もあります。ニューテックでも、できるだけ多くのLinuxディストリビュータと技術提携を行い周辺装置の動作検証していますが、自作機をも含めて無限の組み合わせで構成されるPCに対する動作保証は現実的に不可能です。なるべく基準となるハードウェアをベースにサポートしておりますが、種々の事情によりSCSIカードの変更やインストールするLinuxパッケージ変更を、どうしてもお客様にお願いせざるを得ない場合もあります。
アダプテック社のSCSIカードでのトラブル状況
特に、一般的に多く使われているアダプテック社のSCSIカードでは、AHA-2940UWの後 の製品におけるトラブルが多く出ています。カーネルバージョンアップによって、都 度、修正も加えられているようですが、現時点(2000年11月)で比較的新しい日本語 版のディストリビューションパッケージのカーネル2.2.15での評価では、Ultra 160 SCSIのAHA-29160がサポートとされていても不安定な問題がありました。これは、 Ultra 160モード持っていてもネゴシエーションで最速モードを選択できな場合や、最速のUltra 160モードが利用できてもCRCエラーを発生してしまうトラブルです。
(CRC:データ転送の信頼性向上のためにUltra 160 SCSIからサポートされた。)
SCSIカードサポートの問題に関しては、現在、最初から調べなおして正規に情報を公開しますが、現時点、わかっている範囲を記しておきます。なお、間違いなどのご指摘がありましたらサポートへメールをいただけると幸いです。
2.2.11以前(2.0.x以前は除きます)
カーネル2.2.11以前はAHA-2940U2Wでも多くの問題をかかえていたため、実際、多く使われているSCSIカードはAHA-2940UWです。
2.2.12~2.2.15
ニューテックのサポートでAHA-2940U2Wが正式にサポートできるSCSIカードとして判断されるようになってきたバージョンですが、まだHDDメーカーでもUltra 2 SCSIでのネゴシエーションに問題あるデバイスがありました。(Quantum社Atrus ・シリーズ)この時点で、AHA-29160がそろそろ組み込まれていましたが、まったく正常動作できませんでした。しかし、後でわかったのですが、AHA-29160はUltra 160 SCSIモードをSCSI BIOS上で禁止すれば使えました。(SCSI BIOSはシステム立ち上げ時、CTRL-Aで起動するSCSIカードのパラメータ設定画面)
2.2.16
Ultra 2 SCSIでネゴシエーションエラーを起こしたHDDも正常に80MB/sの接続ができるようになりました。しかし、AHA-29160のUltra 160 SCSIモードに関しては、まだ、OKできません。そのためPC起動時のSCSI-BIOSでUltra 160モードを禁止しておく必要があります。
以上のとおり、簡単ですが現時点のトラブル状況を説明しておきます。
サポートが開始されたデバイスでもバグフィックスには時間がかかります
Linuxは新しいSCSIカードのドラ イバがリリースされていても、その時点で必ずしも完成度が高いとはいえません。通常、この不具合対策はカーネルのバージョンアップによって行なわれていくので、常にFTPサイトから最新バージョンをダウンロードしアップデートでの対処を必要とします。しかし、大半のお客様は日本語版のディストリビューションをベースにアップデートしている都合上、それを待たなければならない事情があります。FTPサイトからは現在2.2.17まで(開発バージョンは2.4.xもある)ダウンロード可能でも、バー ジョンアップにはハイレベルな知識が必要であるためです。
(ハイレベルな知識とは、C言語コンパイルとUNIX管理を理解している人です。)
アダプテック社のLinux対応への期待
Adaptec社は、Linuxの64bit版となるIA-64 LinuxからAHA-29160のネイティブサポートを正式表明しています。いままで有志によって開発されたドライバに対し、Adaptec社が直々に提供するドライバへの期待は大きなものとも言えます。現状、SCSIカードの信頼性評価が、システムの実運用による市場からのフィードバックによって行なわれるというのはフリーOSの宿命ともいえます。これに対し、様々な周辺機器との互換性を維持してきたSCSIカードの老舗がリリースするドライバには、それまで培ったSCSIノウハウが詰め込まれていることと思います。
(カーネル 2.4.x からが一般リリースされる64bit LinuxでIA-64プロセッサのサポートが開始されますが、Adaptec社のドライバが全てに実装されるのかは不明です。)
その他のSCSIホストバスアダプタ
アダプテック社のSCSIカード以外というと、大半のメーカーが採用しているSCSIコントローラは旧SYMBIOS社製ですが、新型のコントローラはAdaptec社製より、少し遅れてサポートされています。(SYMBIOS社は時代によってNCR、LSI Logicへと買収されてきたメーカーです。)コントローラは53Cで始まる型番で表記されており、それに該当するドライバがインクルードされていれば使用可能です。ただし、様々なメーカーからこのコントローラを採用したアダプタが販売されてはいるのですが、SCSIのBootROMの設定条件もあるため、ニューテックでのサポートは、弊社の販売するSCSIアダプタに限らせて頂いております。 (NPCI-80LVDなど。また、NPCI-160LVDVはカーネルサポート待ちです。) また、個々のアダプタメーカーでも、それぞれのホームページから新型53Cシリーズのドライバをダウンロードできますが、自動的にパッチできるLinuxは英語版に限られているようなので、日本語版ではディストリビューションパッケージでのサポートを待つ方が良いといえます。
ファイバーチャネルカードのサポート開始(NPCI-FC2/STP)
SCSI に代わる次世代のシステムバスとしてFC-ALの導入が盛んになりつつありますが、現時点でニューテックの販売するファイバーチャネルカードのサポートは、Linux カーネルのバージョン2.2.14から開始しています。RAIDなどのシーケンシャルアクセス性能は、確かにUltra 160 SCSI の方がピーク性能で勝っていますが、実際のストレージアクセスではランダムアクセスも多く入り、こういったデバイスのレスポンス性能を含めての総合評価ではファイバーチャネルの方が勝っているといえます(512Byteブロック処理性能で30%~50%程度高い)。また、システムインストールはSCSI と大きく変わらず簡単で、ファイバーチャネルカードをPCI スロットに実装した状態でLinuxをインストールすると、SCSI カードと同様に自動認識されるのですごく簡単です (インテル系CPUに限ります)。ファイバーチャネルの採用は、システムバスのデータ転送における信頼性向上も含めて検討することをお奨めいたします。
トラブルはSCSIカードだけとは限らない
SCSIカードやカーネルバージョンだけではなく、コンピュータ本体のマザーボー ドによってもLinuxサーバの信頼性は大きく違います。特に大きな問題となってい るのは、非常にノイズに弱いマザーボードが多く存在している点です。電源ラインに300V程度のパルスノイズを加えるだけでも、SCSIバスの転送コマンドが化けてしまい、結果的にストレージ機器がフリーズしている様に見えてしまいます。この程度のノイズは同じ電源ラインに接続された、消費電力の大きい装置の電源ON・OFFでも発 生することがありますから、少なくとも1KVはクリアできなければ十分な信頼性を確保しているとはいえません。しかし、このような障害への対策は品質の良いサーバ機の選定が必要となりますが、現実、お客様がこのテストを行なうのは物理的に不可能です。
そこでニューテックでは、お客様にサーバモデルを推奨できるよう準備を進めています。サーバには自作機ではなくLinuxを正式にサポートし、互換性が確認された製品をご採用ください。(もちろん、搭載されるSCSIカードも含めて)
NFSにおける他OSとの相性問題(ファイルの転送速度が遅い)
現行のLinux 2.2.x におけるNFSは、Linux 同士であれば問題はないのですが、他のOSとのNFS接続において、非常に転送速度が遅いといった問題があります。
現在、Linux ユーザー様から、NAS製品であるMaxAttachで、お問い合わせで多いのはNFSにおける転送速度の問題ですが、これにはLinux側での改善を待たなければなりません。NFSはカーネル2.4.x以降でバージョンアップされるとのことですから、そのバージョンに期待してください。
Linuxをインストールするならできるだけ新しいカーネルバージョンで
Linuxは目的に応じて、ディストリビューションパッケージを選択しインストールされることと思います。最近、OracleをインストールするならMiracle Linux、科学数値計算向けの並列計算用ディストリビューションのKondara MNU/Linux HPC2000と、アプリケーションの目的とサポート内容に合わせてパッケージを選択するのが一般化しています。 しかし、ハードウェアの互換性に関してはディストリビューションパッケージのバージョンよりもカーネルにほとんど依存するため、サポートに関してはカーネルバージョンを基本とさせていただくことにしております。 下記にこれまで出荷されたLinuxディストリビューションパッケージのカーネルバージョンを記すので、サポート依頼の際に参考としてください。また、カーネルの新バージョンほど、ハードウェアのトラブルは解決されているので、できるだけ新しいカーネルをもったパッケージをインストールするようお願いいたします。
ディストリビューション名
kernel
2.2.15
2.2.13
2.2.9
2.2.9
2.0.38
2.2.14
2.0.36
LASER5 Linux 6.4 (Radhat Linux 6.2がベース)
2.2.16
上記 Linuxパッケージには、その出荷時期に応じて、カーネルバージョンアップCDが添付されている製品もあります。 なお、表記は各ディストリビュータ様より、弊社へ評価用として提供されたパッケージです。この他にも多くのディストリビューションが存在し、中でもファイルシステムの冗長性を高めた、ジャーナリングファイルシステムを実装したディストリビューションもあります。このため、カーネルバージョンが一致していても動作保証できない場合もあります。
※ニューテックがお奨めとしているのは、基本的に新しいカーネルが標準となっているディストリビューションですので性能・その他の優劣ではありません。