安定してきたUltra160SCSI
Ultra160SCSIは安定した「かれた技術」です。
様々な進化をとげ多くの規格を生み出してきたSCSIの仕様と規格についてまとめ、規格が混在する環境における注意点や発生し得るリスクについてガイドします。(2004年掲載)
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本ページに記載された技術情報は記事が出稿された時期に応じて推奨システムに対する考え方や実現方法が書かれています。 |
本来、SCSIもATAもパーソナルコンピュータ用として開発され、主にSCSIは外部デバイス増設用、ATAは内部デバイス増設用に使われてきました。結果、SCSIはATAの持つ内部バス特有の制約(省電力など)にとらわれることなく、パフォーマンス優先の独自の進化を遂げました。SCSIの高パフォーマンスはサーバ、RAIDにも採用され、今日ではレガシーなデバイスからデータセンター内の高度なシステムにまで幅広く普及しています。
近年では、同じような外部接続用としてUSB、IEEE1394が登場し、一時はSCSIにとって変わると言われた時期もありました。しかし、UBSではOSで認識できないケースや、電源供給の問題が起こったり、IEEE1394では対応製品の充実がなかったりと、結局SCSIの市場を奪うことはありませんでした。
その中、Ultra3SCSIのサブセットとして登場したUltra160SCSI は、既に5年以上も活躍し、対応製品やドライバの充実から、SCSI製品の中でももっとも安定してきたと言われています。ここでは、再度Ultra160SCSIの性能を振り返ることで、Ultra160SCSIがいわゆる「かれた技術」であることを説明します。
Ultra160SCSI の主な性能
エラーチェックの強化
Ultra 2 SCSIまでの規格ではSCSIバス上の転送エラーをパリティチェックのみで検出していましたが、Ultra160 SCSIからはCRC(Cyclic Redundancy Checking)によるエラーチェック機能の追加で、転送データのエラー検出能力が大幅に強化されました。従来は、バイトデータあたり奇数個のエラービットしか検出できませんでしたが、CRCではデータブロックあたり32bitまでのエラー検出が可能になります。
このCRCによるエラーチェックは非常に評価が高く、EthernetやFCにも採用されており、信頼性の高い安定したデータ転送を提供します。
ドメインバリデーション
以前のSCSI は、コンピュータ起動時に通信速度が決定されO S によっては、その転送速度が固定されていました。しかしUltra 160 SCSI からは、データ転送中にエラーが発生すると、自動的にバスのクロック数を落としてエラーの発生を抑えるドメインバリデーション機能がサポートされました。これは断線などをチェックする基本テストと実際にRWによるテストで最高のデータ転送速度を機器間でネゴシエーションし、安全で最高のパフォーマンスを引き出します。なので、多数のSCSI機器が接続されたようなハイエンド環境や、ケーブルを延長して使用している場合でも確実に動作する安定したSCSIシステムを提供します。ケーブルを延長して使用している場合でも確実に動作する安定したSCSIシステムを提供します。
フェアネス
SCSIバスでは、各デバイスのSCSI-IDによってバスの優先権があり、複数のSCSI機器がSCSIバスの転送レートを越える要求を行った場合、優先順位の高いデバイスだけが動作し、優先順位の低いデバイスはデータを転送できなくなる問題がありました。(最悪の場合そのプロセスが停止します)
フェアネスはこの問題を解決する技術で、Ultra160SCSIからサポートされました。
複数のハードディスクが同時にSCSIバスの占有を要求しても、各SCSI-IDのデバイスに均一にバス占有権が割り当てられるようになっています。この機能はRAIDのように複数のハードディスクに対する均一アクセスがあるシステムに非常に有効で、パフォーマンスの向上につながります。
以下は、フェアネス機能のある場合とない場合をグラフにしたものです。
※ブロック単位のシーケンシャルリードを6 台のHDD に同時に行ったテスト結果です。フェアネスを持った場合には、それぞれの機器のパフォーマンスが平均化しているのが分かります。
~フェアネス非対応機器の混在について~
フェアネスはハードディスクなどのターゲット側が個々にサポートしていますので、フェアネス非対応の装置とも混在が可能です。ただし、フェアネス非対応機器を混在させる場合は、対応している機器に優先順位の高いSCSI-ID を割り振ります。これはフェアネスに対応していない機器が高い優先権を持つと、他の機器へのバスの占有権を譲ろうとしないためにフェアネス効果が得られないためです。もちろん完全なフェアネスを実現するには、SCSIバス上の全デバイスの対応を要します。(FC ではフェアネスを標準サポートしています)
整ったUltra160SCSI の舞台
Ultra160SCSIのパフォーマンスを使い切るにはホストコンピュータ側にも十分な処理能力が必要になります。例えば64BitPCIバスで稼動した場合に130MB/s以上の能力を発揮するUltra160SCSIカードでも、32BitPCIバスで稼動させると60MB/s程度となり、半分以下の能力しか発揮できません。しかし、今日ではボトルネックとなっていたホストコンピュータ側の処理能力が向上し、Ultra160SCSIのパフォーマンスをフルに引き出すことが可能になりました。
また、Ultra160SCSI自身も、マルチタスク化・マルチCPU化したホストコンピュータからの複雑な命令を最適化し高速に処理できるよう、デュアルCPUが主流になりつつあります。
Ultra160SCSI の機能詳細
ニューテックで扱っている「PCI-Bus対応 SCSI 2chモデルUltra 160 SCSIカード」の機能について詳細をご紹介します。
仕様
外部インターフェース/コネクタ形状 | LVD 対応 Ultra 160 SCSI / VHDCI(V型)×2 |
SCSI最大転送レート | 160MB/s×2ch |
PCIバス仕様 | 3.3V/5V、64bit/33MHz PCIバス(32bitバスにも実装可能。但しピーク性能は半減) |
対応OS | FCインターフェースカード | Sun用SCSIインターフェースカード | |
NPCI2300FC/HSD | NPCI2300FC/LC | NPCI-160LVDV-L | |
Windows NT sp5 |
○
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○
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-
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Windows 2000 |
○
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○
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-
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Windows 2003 |
○
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○
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-
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Linux 2.4系 |
○
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○
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-
|
Linux 2.2系 |
×
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×
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-
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Solaris 2.5x(SPARC) |
×
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×
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×
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Solaris 2.6(SPARC) |
×
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×
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○
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Solaris 7(SPARC) |
○
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○
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○
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Solaris 8(SPARC) |
○
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○
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○
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Solaris 9(SPARC) |
○
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○
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○(ドライバ不要)
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※1 Solaris8は、release 2/02以降のバージョンであればドライバのインストールは不要です。
■ニューテック製RAIDの推奨接続台数
同一SCSIバス・FCループ上に接続するデバイス(ノード)数が増えると、パフォーマンスの低下やノイズの影響によるI/Oエラーが発生することがあります。このため、ニューテックでは、SCSIやFCの規格とは別に、推奨接続台数を定めています。システムアップの際、参考にしてください。
■推奨接続台数
●SCSIモデル:4台
●FC(メタル)モデル:5台(内蔵FCハブモデルに限る)
※NPCI-160LVDV-Lは、Solarisのブートは可能ですが、OS標準でドライバが入っていない場合は、CDインストールはできません。