バックアップ、レプリケーション、アーカイブの違い
それぞれの目的や特長を理解し、より効率的な運用を
バックアップ、レプリケーション、アーカイブ。いずれもデータ保護を目指しているものの、それぞれ異なる目的と特長があります。このドキュメントではこれらを再確認しながら効果的な運用について考えてみます。
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本ページに記載された技術情報は記事が出稿された時期に応じて推奨システムに対する考え方や実現方法が書かれています。 |
情報通信業界に限らず、私たちの生活には様々なデータが満ちあふれる時代となりました。生活そのものがデータを生み出していると言えるでしょう。
企業活動では、より多くの情報に取り囲まれています。特に情報通信業界ではE-Mail、Web閲覧が出来なくなると、仕事にならないと言っても過言ではありません。このような状況下で、災害対策(DR:Disaster Recovery)、事業継続(BC:Business Continuity)、データ保護(DP:Data Protection)は、会社経営へのインパクトも大きく、しっかりとした対策を打たないと経営責任を問われるケースも増えてきています。トラブルを想定したシミュレーションを行い、訓練しておくことも重要です。昨今は、クラウド・コンピューティングを導入することで、これらの負荷を軽減する動きもありますが、サービスが利用できないことも想定する必要があります。特に、パブリック・クラウドでは、どこにインフラ(サーバやストレージ)があるか分かりません。旧来のオンプレミスシステムが見直される動きがあるのは、このような理由からです。
日頃、耳にする「バックアップ」、「レプリケーション」、「アーカイブ」は、似て非なるものと言えるでしょう。それぞれの目的や特長を再確認し、より効率的な運用を考えてみましょう。
バックアップとは
バックアップとは、システム障害時(オペミス、ウィルス感染なども含む広義)の復旧が目的で、HDD、テープに最新データを記録するものです。復旧のためにはリストア作業を伴います。障害ポイントによっては膨大な時間、労力を要します。このため、システムバックアップ、データベースのオンラインバックアップを実施してRTOを短縮する手法が利用されています。バックアップウィンドウや容量を削減するためにフルバックアップと差分・増分バックアップで運用されることがあります。現在ではネットワーク統合型(SAN、LAN、IP-SAN)のバックアップが主流で、バックアップ対象の大容量化に伴い、重複除外技術を用いて、トラフィックや容量を削減することも可能です。通常は、ファイル単位でバックアップされますが、細分化して同じデータパターンはメタ情報、ポインタを管理することで実現しています。テープへのバックアップではメディア管理が伴います。どのテープに何が入っているかはもちろん、保管環境(温度、湿度)管理、定期的なリテンション、正副保管、遠隔オフサイト保管、メディアコンバータなどの運用コストが生じます。HDDとテープを組み合わせたハイブリッド構成も多く利用されています。
最大の目的は、データ保護ではなく、データ復旧にあります。このため、障害やデータロストを想定した事前検証(予行練習)をシミュレーションしておく必要があります。
レプリケーションとは
レプリケーションとは、システム障害時の継続運用を目的にファイル単位、ブロック単位で複製するものです。データだけでなく、サーバ間でシステム毎、複製される構成も多く、仮想IPのパス切り替えでフェイルオーバーに対応しているものもあります。このため、従来のバックアップと比較するとRTOが短いのが特長です。ただし、障害修復後には、データの再同期(逆方向の複製)が必要となり、システムパフォーマンスが低下します。ソフトウェアの仕様によっては、この間、書き込みを制限されることがあります。
災害対策のために遠隔地へのレプリケーションが行われています。通信回線が安価に提供されるようになり、かつ、ソフトウェアの改良でブロック差分でのレプリケーションが可能になったことが背景にあります。
アーカイブとは
アーカイブとは、長期保管が必要なデータを、変更することなく、光メディア、テープに記録するものです。ハード寿命に伴うデータ、システム更新やメディア管理が課題としてあります。保管されたファイルは、再利用が前提で、アクセス性を高めるためにHDDへのアーカイブも行われています。大容量のSATAディスクが安価に提供されるようになり、今後、需要が拡大すると考えられます。
アーカイブには次のような要求があります。
- 正副もしくは3重化以上で保管
- 長期間の保管(内部統制、法令面での要求)
- アーカイブファイルへの随時アクセス(リストア不要)
- 原本保証(改ざん防止)
- 削除/上書き禁止(WORM機能)
バックアップと混同されることがありますが、性質の異なるものですので、最適なソリューションの選択が必要です。映像コンテンツ、医療画像、学術データ、衛星画像、建築CAD、公文書、帳票、契約書など、電子ファイルを長期に保管する需要はいっそう、高まります。
ニューテックでは、お客様のニーズにあったベストソリューションを提供しています。お気軽にご相談ください。
(2011年4月掲載)